電磁界シミュレーターによる静電容量式タッチセンサーの電極考察1
静電容量式タッチセンサーのセンサー電極の静電容量を電磁界シミュレーターで計算してみた。この考察を直感的に把握するには高校物理の電磁気学を思ひ出すと都合がよい。
ここでは高価な電磁界シミュレーターは使用しない。Sonnet社の電磁界シミュレーターのうち無償で利用できるSonnet Liteを使用した。
高校物理の電磁気学を思ひ出し電気力線の分布を想像すれば見通しはよくなる。
計算例
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0.770pF |
1.46pF |
6.14pF |
6.43pF |
電極を空間に浮かせた状態 |
電極と同一面にてGNDで囲んだ状態 |
t=1.6のFR-4基板を使ひ裏面にベタGNDを配置した状態 |
電極と同一面にてGNDで囲み、t=1.6のFR-4基板を使ひ裏面にベタGNDを配置した状態 |
※解析図形の周囲にある長方体はSonnetが解析の対象とする金属箱である。箱の電位はGNDである。
目次
電磁界シミュレーターは、高周波回路・高速デジタル信号伝送線路だけでなく静電容量タッチセンサー電極の静電容量シミュレーションにも利用できる。電磁界シミュレーターの多くは高価であるが、Sonnet社は解析能力を限定したものを無償で提供してゐる。これはその活用例の一つである。
本文の狙ひは、電磁界シミュレーションにより電極の静電容量の絶対値を求めるのではなく、計算結果から変化の度合を把握し設計に役立てることである。
電磁界シミュレーターSonnet Liteの主な制限事項は、解析に必要なメモリが16MBを超える問題を解析できないことである。そのため解析規模が大きい問題は、規模が小さい問題に分割または変更して解析させる。
センサー電極自体の静電容量を求めることは、その電場を求めることと同じである。電場における電気力線の分布を想像することにより、電極形状の変化による静電容量の増減を推測することができる。
電極を設計するとき、電極の周囲を同一面のGNDで囲んだり、裏面にGND面を配置したりする。これにより電極自体の静電容量は増加する。電極自体の静電容量が大き過ぎると指を接触させることによる静電容量の変化が小さくなり、接触検出が難しくなる。
以下種々の場合についてシミュレーションを行ひ、その変化の傾向をみる。
作成日 H21.7.8