並列共振回路 ハイインピーダンスなのに電流最大

 昭和五十五年頃のアマチュア無線問題集に以下の問題が載つてゐる。

 図の回路は並列 LC 回路であるから共振時にインピーダンスが最大になるので i が最小になるのは容易にわかるだらう。その一方 r と L の間を流れる i0 は最大になる。

 i0 が最大になる理屈はどういふことであらうか。安直には i0 も最小になりさうなものだ。インピーダンスが高いことは回路にエネルギーを大して与へてゐないことを意味するのだから。

 i0 は共振周期で L と C の間を行き来する共振回路内の電流である。これは共振エネルギーの大きさを表してゐる。

 回路がハイインピーダンスになることと共振エネルギーの関係を理解するには、共振現象の過渡状態を考へる必要がある。並列共振回路がハイインピーダンスになるのは定常状態のことなのだ。

 初期状態として共振回路の LC のエネルギーを 0 としよう。そこに共振周波数の交流電源を接続する。 共振回路内の電流 i0 の振幅はいきなり大きくならず、ゆつくりと上昇しその内一定の振幅になる。 電源を切断するときも瞬時に電流はなくならず、ゆつくりと減少し 0 に戻る。

 つまり共振回路にはローパスフィルターと同様に時定数があるのである。共振回路はバンドパスフィルターそのものであるので時定数があるのは自明のことであらう。

 電源接続から定常状態に達するまでの期間は、LC 素子にエネルギーを蓄積する段階である。この間インピーダンスは低く電流が流れ共振回路にエネルギーが送られる。

 やがて電源の振幅と共振回路の振幅が一致する段階に到達する。その後共振回路は電源から、回路の損失分のエネルギーだけを受け取るやうになる。これがハイインピーダンス状態を示す理由である。

 次に電源を切断するとエネルギーの供給がなくなり、 LC 素子に蓄積されたエネルギーが放出され、振幅がゆつくりと減少する。

 まとめると共振回路の定常時の電流は、回路の損失を補ふだけのエネルギーを電源から受け取るために最も少なくなる。一方で共振回路内の電流は、電源接続時から定常時まで上昇し、定常時で最大となる。

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